太陽*3の小説「野望戦隊ラムズマン2」

ぷにその15「大人に戻れなくなった日」1/3 2008/10/24 22:23

太陽*3さん (27) の投稿
太陽*3さん
 魔法の孫の手の肉球がぺったんこになった。
(ゆかりの胸みたい。あはは)
(ごめんね、孫の手)
(あんたのこと、全然上手く使えなくて。時にはあんたに八つ当たりしたり。本当はゆかりが駄目な子だったからなのにね)
(ごめんね、ゆかりのワガママで。もう・・・・死んじゃったの? 折りたたむことも出来ないんだね。ごめんね・・・・)
 時間は夜の十一時。良い子は寝る時間だ。
(でもゆかりんは悪い子だから、寝なくていいんだ)
(なのにどうして、気が付くと自分の家の前にいるんだろう。お父さん・・・・心配してるのかな)
(そっか、もうゆかりはいないんだ。帰れないんだ。どこへ行こう・・・・)
 その時、ゆかりの部屋の窓が開き、ミズタマが飛び降りてきたので、ゆかりはとっさに隠れた。
「どこへ行ったんだ、ゆかりん! 遅いじょ、遅すぎるじょ!」
 一人(一匹)で何やら言いながら跳ねてゆくミズタマ。その格好で夜の道を走っていくのはいかがなものだろう。
(ミズタマ、心配してくれてるのかな。ううん、どうせゆかりがドジったら自分の評価が悪くなるからだよ)
 続いて、玄関が開いてお父さんが出てきた。そのままお隣の芳井さんちに行き、チャイムを押す。
「夜分すみません、うちのゆかりがお邪魔してませんか。ええ、まだ帰っとらんのです。心当たりには電話をしたのですが・・・・そうですか、はい、連絡がありましたらお願いします。では・・・・」
(お父さん・・・・)
 芳井家の玄関にはこなみの姿もあった。
「おじさん、ゆかりんは? ゆかりんは帰ってるの?」
「ゆかりん? ゆかりのことかな」
「ううん、ゆかりん。私と同い年の」
「うん? うちにはそんな子はいないよ」
「え、だって・・・・」
(そうか、ゆかりは・・・・もう存在しないんだ)
(そしてゆかりんも・・・・帰る場所がないんだね)
「ううっ・・・・」
 涙が、止まらなかった。
 外灯の明りが滲んだ。

コメント (0)

コメント一覧

コメントはまだありません。

トラックバック (0)

トラックバックは受け付けていません。

太陽*3の小説「野望戦隊ラムズマン2」
太陽*3の小説「野望戦隊ラムズマン2」

カレンダー

<< 2008 年 10 月 >>
1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031

この掲示板を購読

rss