太陽*3の小説「野望戦隊ラムズマン2」

ぷにその12「オーディションに挑んだ日」2/3 2008/10/16 22:33

太陽*3さん (27) の投稿
太陽*3さん
 オーディション二次選考を二日後に控えたお昼休み、久々にユタカから電話があり、ゆかりは屋上に呼び出された。
「ゆか・・・・いや姫宮さん、透子・・・・いや、藤堂院さんのことなんだけど」
 やけに名前を訂正するユタカ。
「透子、でいいんじゃない? 付き合ってるんでしょ?」
「あ、ああ・・・・何か知らないか? 透子のこと」
「何かって、なに?」
「つまり、その・・・・」
 言い辛そうに遠くを見たり、空を見上げたりするユタカ。
(何を聞きたいんだろう?)
「つまりだな、最近の・・・・交友関係とか」
「は?」
「真っ当じゃない仕事に誘われてるとか」
「なに、それ? 何の話?」
 訳が分からないゆかりに、苛ついたようにユタカは声を張り上げた。
「知ってるだろう、透子が会社を辞めるってこと!」
「透子が!?」
「・・・・君には言ってなかったのか。君になら相談していると思ったんだけどな」
「透子が仕事を辞める? 辞めてどうするの?」
「知らないよ、だから聞いてるんじゃないか! だから、どこか新しい仕事先が見付かったのか、それはまともな仕事なのか、それが心配で・・・・」
「まともな仕事じゃないって?」
「最近、透子の奴、金遣いが荒いんだ。ちょっとの距離なのにタクシーを使ったり、昨日喰った肉なんて、こんなの一枚三千円するんだぜ?」
 ユタカは手で肉の大きさを示した。凄く貧乏臭い話だ。金遣いが荒と言うので、ゆかりはてっきりアクセサリーとかお洋服とか、贅沢をしてるのかと思った。
「昨日だって、凄く大きなダイヤの指輪をしてたし」
(それ、タクシーやお肉よりも先に話すべきことじゃなくって?)
「なぁ、あいつ、裏の仕事とか水商売とかやってるんじゃないのかなぁ? まぁ、それは絶対にないとは思うんだけど・・・・」
 心配そうなユタカだったが、ゆかりは透子の贅沢がどこから来たのか知っているので慌てたりはしなかった。きっとそれは魔法だ。魔法でダイヤを出したりしているに違いないと確信していた。
(魔法で何でも出せるから、会社で働いているのが面倒になっちゃったのかも・・・・)
「なぁゆかり、それとなく透子に聞いてくれないか?」
(でも透子の家って元々お金持ちだし、その程度じゃ凄い贅沢というわけでもなさそうなんだけど、仕事を辞めちゃうってことはやっぱり魔法で色々出せるからなのかな)
「ゆかり、なぁ」
「何よさっきから! あんた彼氏でしょ!? ゆかりに頼らないで、透子が大事だったら自分で守ってみなさいよ!」
(あちゃ、またやっちゃった。だってさ、ユタカがあんまり情けないから)
「・・・・そうだな、ゆかりに頼むのは筋違いだった。すまない」
 ユタカは俯いたままクルリと背を向け、昇降口に歩いて行った。
「筋違いじゃないよ」
 ゆかりはそんなユタカの背中に向かってこう言った。
「だって透子はゆかりの友達だもん!」
「・・・・サンキュー」
 背を向けたままだったが、ゆかりには何となくユタカが嬉しそうな顔をした気がした。

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